越後三山周辺(新潟) ヨモギ山(989.3m) 2024年3月23日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:47 除雪終点(標高220m)−−4:51 林道−−5:31 沢−−5:38 尾根取付(標高380m)−−5:52 植林終点(標高450m)−−6:42 670m肩−−7:36 桂山 7:42−−8:04 670m肩(アイゼン装着) 8:10−−8:16 標高600m尾根分岐−−8:29 植林帯(標高480m スノーシュー装着) 8:34−−8:47 沢(標高280m)−−8:52 林道(標高240m)−−8:59 除雪終点(標高220m)

場所新潟県南魚沼市
年月日2024年3月23日 日帰り
天候
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場除雪終点路側に1,2台駐車可
登山道の有無無し
籔の有無往路、復路の尾根とも植林帯〜670m肩までは灌木藪
危険個所の有無往路、復路の尾根とも植林帯〜670m肩まではかなりの急傾斜の尾根であり、灌木藪はあるが特に下りでは滑落注意
冬装備スノーシュー(必須)、ピッケル(あった方がいい)、10本爪アイゼン(必須)、ロングスパッツ、防寒長靴
山頂の展望ほぼ360度の大展望
GPSトラックログ
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コメント越後三山の西の末端付近の山。登山道は無く雪がある時期限定の山。今回は直前の降雪によるラッセルを嫌って最短距離で西側の深沢集落から往復したが、傾斜がきつい区間は古い雪はほぼ消えていて新雪のみで潅木藪が出ていた。ここはスノーシューよりもアイゼンの方が適していた。あまりに傾斜がきつく尾根形状が不明瞭で下りではルートミスに注意。670m肩より上部は傾斜が緩んで残雪が豊富となり藪から開放されたが、スノーシューでも足首〜脛までのラッセルの連続だった。山頂は予想外の大展望だったが空気の透明度が悪くて遠望はイマイチだった。悪天の予報の中を強行したが雨が降り始める前に下山できた


桂山山頂。背景は八海山、阿寺山、高倉山など。まだ雨は降っていなかった


しばらくツボ足で頑張ったがスノーシューが無いと厳しかった カモシカの足跡
沢沿いの林道 対岸(左岸)で尾根に取り付くことに
沢には橋が架かっていなかったが水量少なく問題なし 右岸側の林道の続き
ヘアピンカーブから尾根に取り付く 尾根の北斜面は灌木藪
尾根の南斜面は植林帯で積雪が少なく歩きやすい でも傾斜はかなり急
標高450m付近で植林が終了。古い雪は無く新雪のみ 熊の爪痕? でも熊棚は無かった
標高530m付近。灌木藪漕ぎが続く 数少ない照葉樹の葉はカモシカに食われていた
標高600m付近 標高630m付近。急傾斜だけあって岩が見える
標高640m付近 カモシカが休んだ跡?
標高670m肩でやっと灌木藪を突破 670m肩から見た山頂方向
670m肩から見た700m峰 700m峰はてっぺんは通らず北側を巻いた
690m鞍部 標高740m付近の尾根直上は灌木藪で北を巻く
850m肩の雪庇 標高860m付近
山頂直下 桂山山頂
桂山から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
桂山から見た利根水源山脈(クリックで拡大)
桂山から見た苗場山 山頂でのスノーシューの沈みは20〜30cm程度
僅かに太陽の輪郭が見える 新雪から1,2日後なので下界も真っ白
標高800m付近 700m峰を巻く
標高690m付近 マンサク
670m肩から見たこれから下る尾根 アイゼンにスイッチ
スノーシューはザックの背中へ 標高600mの尾根分岐から見た北西尾根(往路)
標高600mの尾根分岐から見た西尾根(復路) 標高570m付近。写真では表現されないが猛烈な傾斜
標高550m付近から下ってきた尾根を見上げる 標高520m付近
標高490m付近で傾斜が緩むと植林登場 ここでスノーシューに切り替える
標高480m付近 標高450m付近
標高400m付近。尾根直上は藪化して右手の植林斜面へ 標高380m付近
標高350m付近。浅い谷を下った 沢に到着すると堰堤登場。しばし左岸沿いを下った
堰堤上流側で対岸に渡った。流れは細い ここを登れば往路の林道に出る
往路の林道。自分のツボ足の足跡があった 林道分岐を直進
駐車箇所に続く車道に合流 駐車箇所は除雪終点
駐車箇所から見た桂山西斜面


 今週は久しぶりに冬型の気圧配置に変わって長野では木曜日に雪が降り、地域によっては大雪になったようだ。新潟でも新雪が降ったのは確実であり、残雪期の藪山を狙うにもラッセル必至だろうが、雪がある時期は限られるので出かけることにした。

 行き先は先週に引き続いて越後三山周辺の南魚沼の桂山とした。ここは先週の行先候補地の一つであり、八海山の枝稜末端に当たる山である。登山道は無く雪がある時期限定の山だ。ネットで見ると主に田崎集落が起点の西尾根経由で登られているようだが、距離が長くラッセルがきつそうなので、最短距離である西側直下の深沢集落から登ることにした。山頂までの標高差は約700mであり、ラッセルを考慮すると登りは3時間と言ったところか。

 ただし週末の天気予報が悪い。新潟を含む広範囲で土曜日は朝から雨か雪の予報である。しかし予報では新潟県内でも魚沼地方は降り出しが最も遅いようであり、何とか登りで雨を避けられればと希望的観測だ。雨よりも雪の方がいいが、予報ではどちらになるか微妙な線だった。雨に降られることを覚悟して防水効果がまだ高い下界用の雨具を持っていくことにした。

 金曜日の夜中は月が出て明日朝に天気が崩れるのが嘘のような天気だった。気温は下がって出発時に+4℃くらいだったが飯山で-1℃の表示。路面凍結が心配だったが路面に広がった雪解け水は凍っていなかった。まだ冬タイヤのままなのである程度の凍結は問題ないとはいえ、凍結箇所では全く滑らないわけではないので、凍結が無いとスピードを落とさなくて済むのは有り難い。

 飯山付近から徐々に道端に雪が見られる様になり、栄村や津南付近では先週と同じくらいの雪が残っていた。でも十日町に達するとかなり雪が少なくなって、もしかしたら桂山でもラッセルは少なくて済むかもと期待する。国道253号線八箇峠トンネル経由で六日町に入り、三国川沿いの県道を東に走って深沢集落に到着。集落の東のはずれの除雪終点に駐車して仮眠。まだ月はきれいに出たままで、この夜は放射冷却で冷えて明け方には車内でも-2℃を示していた。下界でも明らかに新雪が積もっていて、山の上ではどれほどの新雪が積もっただろうか?

 朝飯を食べて出発準備。今回はラッセル必至なのでスノーシューは必須で、他にピッケル、10本爪アイゼンを持つことにした。今回使う尾根はかなりの傾斜であり、登りではスノーシューが使えても下りでは無理で、この傾斜だとアイゼンが方がいいだろう。

 できるだけ雨が降る前に下山しようと今回はまだ暗い中をLEDライトで出発。暗い中でもルートミスしないよう、最初は沢沿いの雪に埋もれた林道を辿ることにした。雪に埋もれた水田の道端の雪は冷え込みでカチカチに固まって長靴でも沈まなかったが、山の中でもこの状況ならいいのだが。

 集落の人家を抜けて植林帯に続く林道に入る。先週と違って冷え込んでいる影響か、今日はスギ花粉は全く感じず、下山時も同じだった。いつもこうだといいのだが、残雪期は季節が進むほど花粉は酷くなる一方だ。植林帯の中は頭上に枝が伸びている箇所は新雪が邪魔されてあまり積もらなかったようでラッセルが少なくて済むが、開けた場所では膝まで埋もれるラッセルだった。どうにか標高310m付近までは我慢してツボ足で歩いたが、それ以降はスノーシューを装着し、その効果はてきめんであった。最初から付ければいいのだが装着が面倒なのであった。ラッセルで体が発熱し、林道の途中で上半身の防寒装備の大半を脱いで半袖シャツの上に薄手のウィンドブレーカだけになった。

 林道は最初から最後まで雪に埋もれていたが、先に進むと潅木藪が登場して明らかに廃林道化していた。

 標高360mで林道が沢を横断する箇所は橋があると思ったら無く、流れを渡るがかなり細くて問題なかった。しかしこの沢には巨大な砂防ダムがいくつも設置されていて、残雪期なら沢沿いに下れれるかと思ったら無理そうであった。雪が最も積もった時期に堰堤が完全に埋もれるほど雪があれば別であるが、少なくとも今はいくつもの堰堤が滝のように沢をブロックしていた。

 標高370mで林道がヘアピンカーブする箇所で林道を離れて斜面に取り付くことにした。この付近は林道のある北斜面は自然林だが、取り付いた尾根の右側(南斜面)は植林帯であった。既にかなりの急傾斜なのに植林とは。おかげで木の根元が雪の重みで曲がっていて、まっすぐな材として使える部分が減ってしまい非効率だろう。しかし植林の中は積雪が比較的少なくてラッセルが軽減されるのはうれしい。おまけに藪もほとんど無いので歩きやすい。傾斜がきつくなって運動量が上がって体の発熱が更に増したため、上半身は半袖シャツに腕カバーまで装備を減らした。

 標高450m付近で植林帯が終わって明るい自然林に切り替わると同時に潅木藪が登場。新雪に覆われているが、雪を踏む感触からして古い雪は残っていないようだ。積雪は10〜15cm程度で藪が隠れるには程遠く、これだったら雪が無い方がマシであろう。潅木藪にスノーシューの取り合わせは最悪に近いが、私のスノーシューは登りだったら10本爪アイゼンと同等の食い付きがあるので、滑り止めの意味でそのまま登った。しかし下山時の感触からして登りでもアイゼンに切り替えた方が良かったようだ。

 潅木が完全に尾根を塞ぐ箇所がいくつもあり、急斜面を左右に迂回したり、潅木を無理やり通過したりと大変だ。カモシカのトレースがあるが、人間が潜り抜けるのには低すぎる隙間でも通過していた。真新しい足跡は数多く見たがカモシカのご本尊は見ることはなかった。まあ、これがいつものパターンであるが。立木の一本に熊の爪痕のような傷があったが、熊のものかは不明。少なくとも自然林帯で熊棚は見なかった。カモシカに食われたのか、低い位置に緑の葉がある数少ない照葉樹は、大半の葉が食われていた。

 時々現れる超急斜面はピッケルと潅木に掴まってクリア。これは下りはスノーシューは使い物にならないな。と言うよりもスノーシューでなくても下りでは使いたくない傾斜である。傾斜が急すぎて時々現れる地面には岩が見えていた。この傾斜では岩があって当然だが、幸いにして往路/復路で使った尾根ともあからさまな岩登りが必要な場面は皆無だった。ただし灌木に掴まって上り下りする場面が多く、翌日に腕が筋肉痛になるかと思った。

 急で細い尾根は標高670mでやっと終了。ここで植生が大きく変わり、それまでの細く密生した潅木藪から丈の高い大きな疎らなブナ林に切り替わると同時に豊富な残雪に乗る。ここまでは積雪は足首程度であったが、この先はスノーシューで潜る深さが足首程度であり、積雪量がどれくらいなのか分からない。雪質は新雪そのものでモフモフだが重く、ラッセルも重い。でもこれまでの藪漕ぎと比較すれば天国でありスピードアップだ。これで天気が良ければ言うことないのだが、徐々に雲が増えてきて太陽が薄っすらと見える程度になっていた。しかしこの程度の雲ならしばらくは雨の心配は無さそうだ。

 700m峰は僅かに北側を巻いて690m鞍部へ。再び尾根に乗って明瞭な尾根を東へ上がっていく。もしかしたらこの尾根には目印があるかと思ったが、ぱっと見では見当たらなかった。尾根直上もブナ林が広がって歩きやすいが、1箇所だけ潅木藪が覆った箇所があり、そこだけは左(北斜面)を巻いた。

 標高850m肩は小さな雪庇ができて微小ピークを構成して山頂かと思わせたが、ここで地形図を広げて確認すると真の山頂はこの先だと判明。もう少しのラッセルが必要だ。しばらく水平な尾根を辿るとブナに覆われたこんもりとした丸いピークが登場し、桂山山頂に違いない。

 最後は脛までのラッセルで桂山山頂に到着。積雪量は不明であるが、ブナがあまり展望の邪魔にならないくらいなので数mはありそうだ。東には高倉山へ繋がる稜線が見えている。できれば両方の山を同時に登りたかったが、今回の雪質のラッセルではどのみち無理だっただろう。高倉山は別に登ればいい。その先は真っ白な八海山に続く。残念ながら先週のヨモギ山はここからだと稜線の裏側で見えなかった。

 南側は巻機山を起点とする利根水源山脈。まだ3月なので銅倉尾根も真っ白だ。ここからだと平ヶ岳は大水上山や丹後山の稜線の裏側で見えないが、これらの山々もまだ真っ白だった。西に目を向けると苗場山くらいまでは見えるが、それより遠い山は霞んでしまって見えなかった。もしかしたら西の方ではもう雨が降っているのかもしれない。

 今回は雨の心配があるので山頂で休憩せず、写真撮影だけして下山を開始した。ただし、この時点でも薄雲を通して太陽が見えるくらいであり、まだすぐに雨が降りそうな状況ではなかった。前夜の予報では午前6〜9時には雨が降り出す予報で、今は午前7時半くらいなので天気の崩れが少し遅れているのかもしれない。ただし、予報では雨の領域は急激に広がるはずであり、できるだけ早く下山した方がいい。できれば潅木藪帯を抜けて植林帯で雨なら許容範囲だ。もちろん、下山まで降られないのがベストであるが、そこまで都合のいい想定はしていない。

 下山ルートであるが、林道歩きを短縮するために往路で使った尾根の標高600m地点で西へ下る尾根に入ることにした。この尾根の標高600〜550m付近は地形図を見る限りは往路で使った尾根よりも傾斜がきつそうであるが、これだけ潅木藪が生えていれば問題なかろう。ついでに670m肩でアイゼンに切り替える予定である。

 下りは自分のトレースが使えるので大幅に楽であり時間もかからない。おまけにそのトレースが目印になるのでルートミスの心配も無い。しかしそれはルートを共有する標高600m地点までである。標高670m肩でスノーシューを脱いでザックの背中に括り付け、久しぶりに10本爪アイゼンの登場。この長靴で使うのは初めてであるが、セミワンタッチではなく1本締めなので基本的にどんな靴にも装着可能だ。まあ、長靴のような靴底が柔らかい靴は想定外だと思うが、過去の長靴では外れたことはない。

 潅木藪に突入するが、往路のスノーシューよりは藪に対して格段に歩きやすかった。傾斜が急で尾根が細く積雪量はそれほどでもないのでアイゼンでも問題なかった。標高600mで往路の尾根と別れるが、尾根の分岐は意外とはっきりして目視で間違いないことが分かった。ただし藪が濃いのでこの下の傾斜は良く見えない。

 相変わらずの潅木に邪魔されながらアイゼンを利かせて下っていく。往路で最も急だった区間と同じくらいの相当の急傾斜で尾根形状が不明瞭であり、近場の地形ではなく少し先の地形を見て尾根の続きを判断した。まさが尾根がブチ切れていないだろうなと少し心配になったがそのようなことはなく、潅木藪が延々と続いた。しかしこの傾斜を見上げると登りでは使う気になれないほどであった。

 傾斜が緩むのは標高480m付近で、同時に植林帯が始まった。ここで積雪量が増えてツボ足ではラッセルが厳しいのでアイゼンからスノーシューに切り替えた。傾斜と積雪量は相関し、一般的に傾斜が緩い方が積雪が多くなる。

 このまま素直に植林帯が続くのかと思いきや、標高400m付近で尾直上から側に自然林と藪が出てきたので右側の植林斜面を下っていく。これだと尾根直上が見えないので尾根を外す可能性が大であるが、おそらくこのまま麓まで植林が続いているのだろうから大丈夫だろう。

 尾根が不明瞭になるも植林は続くのでそのまま適当に下っていくと、往路の林道沿いの沢に突き当たる。沢の対岸には林道があると思うが、頭上が開けた林道よりも植林の中の方がラッセルが少なくて済むので沢の左岸に沿って下っていく。堰堤がいくつかあるが高さが無いので高巻きする必要もなく簡単に通過できた。

 標高240m付近で左岸の傾斜がきつくなり歩きにくくなったので、砂防ダムの上流側平坦地を渡って対岸へ。ここの流れは非常に細く、簡単に跨ぎ越えることができた。対岸には予想通りの林道と自分の足跡があった。まだスノーシューを使う前のツボ足の足跡であったが、帰りはスノーシューなので沈みは少なくて済む。

 林道が右に分岐する箇所は往路では右から上がってきたが、帰りは直進してみることに。地形図を見て気付かなかったのだが、沢(水路)沿いのこの林道は地形図にも描かれていて、駐車箇所より少し東側に出るのであった。結果的には登りのルートと距離的には変わりがなかったが、集落内を歩く必要が無くなったので住人に不審者と思われなくて済んだのはいいことだろう。

 最後は未除雪だが轍がある車道を歩いて駐車箇所へ。車内で着替えていると雨が降り出し、ちょうどいいタイミングで下山できたのであった。暗いうちに出発したかいがあった。


 今回のまとめ。使った尾根は傾斜がきつ過ぎてスノーシューには不向きであり、灌木藪も厳しいのでお勧めできないルートだ。やはり一般的に使われる625m標高点、361m標高点、259.1m三角点を経由する西尾根の方がいいように思う。こちらはルートは長いが傾斜が緩やかであり、植林帯が終わればおそらく背の高いブナ林に変わって残雪が期待できるだろう。

 

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